名古屋・東海ローカルCM 備忘録

名古屋を中心とした中京圏の70年代から90年代にかけて放送されていたCM動画を主に取り上げています。
動画サイトに数多アップされているCM動画を、自分が探しやすくするためのメモみたいなものです。
…のつもりで始めましたが、最近では単なる愚痴や共感を得られるあてもない儚い自己主張の場と化しています。

山本人形

いかりやさんもおちおち眠っていられない



懐かしい『山本人形』さんのCMです。五月人形のCMは以前取り上げていますが、ひな人形のものはこれまでありませんでした。

以前も申しあげたとおり、私はこのCMを視ると、当時住んでいた愛知県内の自宅ではなく、同じ市内にあった祖母の家(母の実家)を思い出すんですよね。それも夕方の光景です。何か頭の奥の方に残されたある日の特定的なシチュエーションの記憶があるのでしょう。

びっくり!「いかりや長介アタマはパー」の掛け声は今の小学校でも健在だった | おたくま経済新聞

これ、私も言ってました。というか、私が子供のころにどこかの地域で言われ始め、それが口伝えに全国各地へ広まったことが、今の小学生にも伝承されているということなのでしょう。そもそも今のお子さんたちはいかりやさんのことを知っているわけないのです。彼らは「いかりや長介」という方が何者かも知らないまま、このフレーズを用いてジャンケンをしているのです。

同様に、童謡「うれしいひなまつり」の替え歌「♪灯りをつけましょ爆弾に お花をあげましょ毒の花」も、今のお子さんの間でも歌われているといった話も聞きます。星の数ほど溢れている情報のうち、ふるいにかけられ、取捨選択されてきたものが、「口伝え」で今も息づいているというわけですからこれはすごいことですね。

祖母の家



このCMを見ると、祖母の家と、テレビを見ている祖母のことが思い出されます。

このバックの音楽といい、影絵調のアニメーションといい、そしてシメの「♪桜山作、五月人形(雛人形)」という歌といい・・・全てが懐かしくて、そして切ない気持ちにさせてくれます。「吹上ホール東」という文言も、『洋菓子のボンボン』の「東片端」や『ウエディング美宝堂』の「名古屋清水口」とともに、この地方のローカルCMならではの地名です。

桃の節句も過ぎ、テレビで流れる人形店のCMも一斉に五月人形のものへと変わりました。以前も書きましたが、この地方は人形店のCMも多かったですね(今はどうですか?)。雛人形は仕舞い忘れたらお嫁に行くのが遅れるといいますが、私の場合は五月人形を仕舞い忘れたんでしょうか。

先週土曜深夜の『SmaSTATION!!』(テレビ朝日)は「泣ける『ドラえもん』映画」の特集でした。泣けるドラえもんの回として一般的によく挙げられるのは『のび太の結婚前夜』で、これは柴田理恵さんがいろいろな番組で語ったことで認知度が上がったためだと思うのですが、私にとって原作の頃から胸に響いていたのは『おばあちゃんの思い出』でした。

“結婚”というテーマは、子供にとっては遠い未来の話であり(未だに遠い世界の話ですが)、これが響くのは大人、それも結婚を経験された方や、近々自身のお子さんが結婚を迎える親御さんなのです。子供にとっては、親と子という関係よりは遠いけどでも決して遠くない祖父や祖母との関係のほうがリアルであり、物語中のもうこの世にいないおばあちゃんに対するのび太の心残りが、子供にとっては切実なものとして共感できたのです。たいていの場合子供の時分なら、親と過ごす日々はまだまだ続くでしょうが、祖父や祖母との別れは差し迫っている、若しくはすでに経験していたりするわけですからね。

この『山本人形』さんのCMが放送されていた頃、確かに私の祖母はこの世にいたのです。テレビが好きだった祖母ですので、きっと何気ない平日の夕方のひとときに、テレビで放送されていたこのCMを見たこともあったでしょう。そもそもこのCMを見ると私の中で祖母の記憶が蘇ってくるということは、確かではないですが祖母の家で祖母が見ているテレビにこのCMが流れたことを見たことがあった、それを脳の深層で記憶しているのかもしれません。そして、のび太ではないですが、それを引金にして私の中にもあるいくつかの心残りが湧き上がってきては切なく心を覆っていきます。

『SmaSTATION!!』で紹介されたアニメ版の『おばあちゃんの思い出』のラストに、のび太のお嫁さんが見たいというおばあちゃんの願いをかなえようと、タイムマシーンでおばあちゃんに会いに来てほしいとしずかちゃんに頼みに行くという原作のオチがありませんでしたね。コメディとしてストーリーを終えることを、シリアスを目指したアニメ版が避けたのかもしれませんが、ドラえもんという作品の位置づけを考えたら、やはり原作の終わり方のほうが相応しい気がして残念でした。

ちなみに、私の心残りとは、祖母に私のお嫁さんを見せられなかったことではないですよ。

著者近影(ウソ)

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