名古屋・東海ローカルCM 備忘録

名古屋を中心とした中京圏の70年代から90年代にかけて放送されていたCM動画を主に取り上げています。
動画サイトに数多アップされているCM動画を、自分が探しやすくするためのメモみたいなものです。
…のつもりで始めましたが、最近では単なる愚痴や共感を得られるあてもない儚い自己主張の場と化しています。

坂角総本舗

まーぼーろーしー



年末に放送された『クイズ正解は一年後』(TBSテレビ)にて、「2019年にIKKOさんから貰ったお土産の総重量対決」という出題がありましたが、最も貰っていた有吉弘行さんが台車に載せていたお土産の中にひとつだけ「ゆかり」の紙袋があったことに、この地方にお住まいの方であればおそらくどなたもお気づきになられたことと思います。シークヮーサージュースと入浴剤の紙袋がほとんどを占める中に、ひとつだけ「ゆかり」の紙袋ですから、目立ちますし、私もちょっとうれしかった。



でも、有吉さんは「ゆかり」をご存知で無いので、田村淳さんにその紙袋に入っているのはなにかと聞かれて、

「なんか・・・おせんべい」

って言ってましたけど。

アダルトタッチ



今までも取り上げてきたとおり、1990年代の『坂角総本舗』さんの「ゆかり」CMは、同じ構成ですが出演している女の子だけ数年おきに変更されるというかたちで製作されていました。

上のものはその少し前、1980年代後半の時期のものですが、いにしえの民話調な雰囲気とは違っていますし、海老が海の幸であるという表現も現代の漁師の方が登場することで全く志向が違うことがわかります。だいいち、出演しているのは子供ではなく大人の女性です。武者小路実篤の格言が添えられることでぐっと重みが増し、まさにアダルトなイメージ付けを狙っていたのがわかります。

そうでなくても充分「ゆかり」は大人なイメージの商品なんですけどね。

坂と角



通常の「ゆかり」が高級感ありありなんですから、「車海老ゆかり角次郎」は高級の更に高級ということなんですね。

創業者が “角次郎” さん、ということは、一般的には「坂角」という続きの名称だと思われていますが、実際には「坂+角」ということなのですね。阪東妻三郎さんが「バンツマ」と呼ばれていたのと同じ感じです。現在の代表の方も名字が「坂」さんとのことです。

1990年のゆかりちゃん



勝手に名付けるな、とのお叱りの声も空耳で感じつつ・・・

こちらのバージョンの女の子はすこし神秘的とでも言いましょうか、いわゆる民話の世界から飛び出してきたような感じの子ですね。

ここまであげてきた『ゆかり』のCM、それぞれに出演している女の子はそれぞれ個性的で、全然違う印象を持った子達なのは皆さんも同じように感じておられることでしょう。数年おきくらいのスパンで製作し直されているのですが、面白いのは、女の子が変更されて撮り直しがされていても、CMの構成自体はどれもほぼ同じものだということです。頑なとでもいいましょうか、これだったら、契約を延ばして過去のものを継続して放送したほうがコストも抑えられるような気もしないではないですが・・・。でも、これが坂角さんのポリシーなのでしょうね。

1993年のゆかりちゃん



勝手に名付けてしまいました。商品名が「ゆかり」なだけで、この子の名前の設定が「ゆかりちゃん」であるわけはないのですが。

以前あげたバージョンの『坂角のゆかり』CMに出演していた女の子と比べて、上のバージョンの子はすこしお姉さんですかね。落ち着いた印象で少しだけ大人びています。

しかしこのCM、1993年のものなんですね。もう24年も前ですよ。

ゆかりのゆかり



「長崎堂」さんのCMを取り上げた際に、CMを放映していたこの地方の老舗菓子店として、「両口屋是清」、「青柳総本家」、「備前屋」、「納屋橋饅頭」をあげました。もちろん、いちいち全部の老舗を書き連ねたらくどいので絞っただけなんですが、「大須ういろ」や「きよめ餅総本家」は抜けているし、岐阜や三重の店は全く抜けてしまってます。「赤福」あげていない段階でもうダメでしょう。

『坂角総本舗』もそうです。間違いのないこの地方のお土産物として確固たるポジションを築いています。

件の『うなぎパイ』騒動の時には、実際にはどこの人間かもよくわからない(とはいっても、だいたいどこの地域の連中かはわかるんですが)“ネットユーザー” 達によってここぞとばかりこの地方の各名物土産に対する侮辱がされていましたが、私は『ゆかり』を思えばこんな中傷は全く相応しくないと一笑に付しました。

「相応しい」といえば、やはりこの地方にとって「海老」という素材に意味があるわけです。タモリ氏が名古屋弁を馬鹿にして「えびふりゃー」とネタにしたところまではいいとして、それを商魂逞しい名古屋人が勝手に名物にした、またそれきっかけでクルマエビが愛知の県魚になった、という一連のネタも “ネットユーザー” 達の創作ですが、タモリ氏が世に出るはるか以前から、愛知と言う土地には代表的な海産物として「海老」が根付いていたわけですし、むしろ博学なタモリ氏がそれを知っていたからこそ、そのネタに行き着いたことは容易に想像できます。それを受け止める側の知識、およびそれから導かれるべき見識が乏しいだけという全く情けない話なのですが・・・。

そう考えると、その土地土地の “名物” とは、「相応しさ」が伴わないと名物としての意味が薄れてしまうのです。北海道でハブ酒を名物にしたり、沖縄で木彫りの熊を名物にしたところで、瞬間的にはネタとして成立したとしても継続はしないでしょう。“名物” にはなり得ないのです。そういえば、静岡のうなぎが、戦後全く衰退してしまったことはあまり知られていませんし、なるべくその話が世に広まらないように頑張っているフシが感じられます。つまり未だにかの地では何十年も前の話をさも今でもそうかのように振舞っているわけです。そして、静岡が名産と標榜するウナギ養殖は、実は我が愛知県内でもほぼ同じ時期に始まっていて(浜名湖のウナギ養殖は、明治時代、一色の愛知県水産試験場にウナギ養殖の研究に訪れていた東京の方が、その行き来の汽車の車中で数か所の適地に目星をつけたことが始まりです)、そしてそれが既に静岡では衰退、でも愛知では現在に至るまで全国トップクラスの生産が続いている・・・・。これはもう『うなぎパイ』は愛知名物として売り出したほうがいいですね。名古屋駅で売りたいのなら、そのほうが実際には「相応しい」のですから(笑)。

・・・冗談は置いておいて。
えびせんべいに、『ゆかり』という名前をつけ、この地方の名物として売り出す。『ゆかり』は、“ゆかり”があるからこそ相応しいわけですし、そこから引き出された名前なのではないでしょうか。

著者近影(ウソ)

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