この「天然ガス転換」とはなんぞや、という話なんですが、もともと昭和50年代の初頭まで、都市ガスは石油や石炭を原料に製造されていました。これを、環境負荷が少なく安定供給も期待できる液化天然ガス(LNG)を原料としたガスに転換しようとした試みです。『東邦ガス』さんでは1978(昭和53)年6月から開始されました。

天然ガスは、燃焼時に大気汚染の原因となる硫黄酸化物が発生せず、光化学スモッグの原因であった窒素酸化物の排出が石油や石炭による製造時より30~40%少ないという利点があるほか、ガスの熱量はそれまでの都市ガスの2倍以上にもなるなど、いいことずくめなのです。当初は1973(昭和48)年に起こったオイルショックによる省エネ化の機運も後押しとなっていたのですが、結果的には、21世紀を迎えた今、世界的潮流となっているカーボンニュートラルの実現への取り組みの先駆けになっていたということになりますね。

しかし、各家庭で転換に3日間もかかるとは、大変な事業です。ましてや愛知県のような人口の多い地域ではなおさらです。実はこの「天然ガス転換」、令和の今も続いている事業だったりします。