まだ筑紫哲也さんがご存命の頃でしたか、『ニュース23』(TBS)にて、名古屋港にほとんど車の通行が無い巨大な橋が架かっていて「税金の無駄使い」がされているとして取り上げられた伊勢湾岸道路。

一瞬、いやいや通行量が少ないのは少しずつ部分開業しているからなだけで、この道路には数年後、第二東名・名神をつなぐ役割が与えられているんだよ、とTBSお客様センター(そんなものがあるかどうかは知りませんが)に苦情の電話を入れてしまおうか、と思ってしまったのですが、直後に気を取り直しました。あぁ、彼らは全てわかっててやってるな、と。

それよりも更に10年ほど前になるでしょうか。1985(昭和60)年前後、当時すでに愛知県外へと転居していた私ですが、持病があって月に1回程度長久手の愛知医大に通院していました。外来での診察が終わって、病院内にあったカフェテリアのような場所でテレビを見ているとNHKが映っていてこの曲が流れていました



「拝啓、ここは名古屋です」という曲ですね。憶えておいでの方も多いかと思いますが、愛知県や名古屋市などが「愛知・名古屋マイソング」としてご当地ソングを一般公募したコンクールでの受賞曲です。まさに1985年度受賞のようですね。

私が生まれ育ったのは愛知県内というだけで名古屋市内だったわけではありませんが、でもこの曲の歌詞で歌われている “主人公” は、まさに当時の私の境遇と全く同じでありながら、来る者と去る者という立場においては全くの逆。なんとも複雑な気持ちで画面を見ていた記憶があります。この時、曲のバックに映る映像に写っていたのが「名港西大橋」。のちに伊勢湾岸道路の一部となるこの橋は、当時他の区間に先駆けて建設され開業していました。以前紹介した、新間正次さんが出演していた『サントリー角瓶』CMにも、まだ名港中央大橋側の橋脚が建設されていない名港中央入口や暫定2車線で対面通行していた橋上の様子が映像として登場しています。

まあ、TBSの杞憂(笑)も私の不満も一蹴するかのように、その後「名港トリトン」の愛称が名付けられたこの名古屋港を跨ぐ区間は、当初の計画通り関東と関西を結ぶ21世紀の新たな大動脈の一部となり、今日も多くの車が行き交っています。

水平線の終わりには虹の橋があって、誰も見ない未来の国を少年は探し求める。「GO!GO!トリトン」なのでした。